タンナーとは?革製品の品質を支える職人と工場を徹底解説
革や革製品を取り扱っていく中で、一度は耳にしたことがあるかもしれない「タンナー」という言葉。
本記事では「タンナーってなに?」「タンナーが違うとどうなるの?」など様々な疑問を持っている方に向けて、タンナーのお仕事や、世界有数のタンナーなどについて、わかりやすく解説します。
ぜひ革選びの参考にしてみてください。
タンナーとは?
タンナーとは、牛をはじめとした動物の皮をなめして革に加工する「皮革メーカー」のことです。英語で「tanner」と表記され、「tan(なめす)」が由来の言葉です。
革製品などに使われる「革」は、動物の皮(原皮)を腐らないように処理することで、柔軟で丈夫な素材に作られます。この加工を「鞣し」といい、その作業を行うのがタンナーです。
また、鞣しを行う工場を指す「タナリー」という言葉もあり、革の製造工場を「タナリー」、製造業者を「タンナー」と区別されることもあります。
鞣しとは?
鞣し(なめし)とは動物の皮を加工し、劣化や腐敗を防ぐことで柔軟性や耐久性を持った素材に仕上げる加工技術です。
加工していない皮は時間と共に腐敗や硬化していきます。そうならない為に、皮の中の脂肪や不純物を取り除き、鞣し剤を浸透させることで皮の繊維層にあるタンパク質を固定、安定化させ、恒久的に使用できる革へと変化します。
詳しくはコチラのコラムにて詳細に解説しています。
世界・日本の有名なタンナー一覧
日本
日本のタンナーの歴史は古く、平安時代にはすでに播磨地方(兵庫の西南部)で革の製造がおこなわれていたとされています。明治時代には欧米の技術を取り入れ、特に植物タンニンを用いた鞣し方法が独自に発展し、栃木レザーの基礎を築きました。現在では、伝統技術と最新技術を取り入れ、高品質な革製品を国内外に提供しています。
栃木レザー
日本屈指の植物タンニンなめしのタンナー。1937年に創業され、現在まで高品質な革を提供しており、革製品ユーザーや職人などから日本レザーの代名詞として高く評価されています。
植物性タンニン鞣しで長い期間、工程をかけて鞣された革は自然な風合いを持ち、丈夫で長く使え、美しい経年変化を楽しめます。
姫路・たつの地域のタンナー
兵庫県・姫路では、1000年以上前から革の製造が盛んで、当時は塩と採種油を用いて鞣す「白鞣し」が有名だったとされています。
現在では、多種多様なタンナーやなめしの技術が存在しており、日本のタンナーの6割がこの地域に集積しています。日本有数の革の一大産地となっています。
イタリア
イタリアでは主にトスカーナ地方にタンナーが集中しています。
それらのタンナーをまとめる「イタリア植物タンニン鞣し協会」は、トスカーナ地方から生まれるタンニン鞣しを世界に広める活動をしている協会です。
厳しい品質管理や、鞣し技術の継承に力を入れており、イタリア植物タンニン鞣し協会認可が下りた革を使用した革製品には、てのひらマークが印字された品質保証書が与えられます。
Il Ponte(イルポンテ)
イタリア植物タンニン鞣し協会に属するタンナー。バケッタ製法と植物タンニン鞣しの技術が優れており、特にベリー(お腹)の鞣しに特化しています。
派手な経年変化をする「マヤ」やトリュフのような質感が特徴的な「タルトゥーフォ」などの革を製造しています。
BADALASSI CARLO(バダラッシ・カルロ)
イタリアのトスカーナ地方にある、植物タンニン鞣しの名門タンナー。衰退していた「バゲッタ製法」を復活させた一任者で、激しい経年変化をするレザー「プエブロ」などを提供しています。
Mastrotto(マストロット)
1958年にイタリアのアルツィニャーノで創業された、全世界で従業員数2,000人を越える世界最大級のタンナー。
世界的なアパレルブランドや、家具のシート、小物まで幅広く革を供給しています。
TEMPESTI(テンペスティ)
1946年に創業された、トスカーナ地方のタンナー。
最先端ファッションアイテムやハイブランド製品を中心に使用されています。
アメリカ
Horween(ホーウィン)
1905年創業のアメリカを代表する老舗タンナー。高級牛革「シェルコードバン」や「クロムエクセルレザー」で名高く、100年以上の歴史を持つ信頼のあるタンナーです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
タンナーは皮革産業においてなくてはならない存在の一つです。
高品質な革は信頼のあるタンナーから生まれ、鞣し方によって革のエイジングの仕方や質感なども異なります。
世界中に数あるタンナー、ぜひ革を調べる際にはタンナーを調べてみてはいかがでしょうか?