【工場見学】フジリュウのクルミ加工の工程をご紹介!

アパレル製品をはじめとしたファッションアイテムのディテールを格上げする服飾資材「クルミホック」。
ホック・カシメの頭に生地などをくるむことで、製品全体に統一感と洗練された高級感を与えることが出来ます。
しかし、このクルミホックの製造工程は、ただ単純に生地を金具にかぶせて押し込んでいるわけではありません。
美しく、長くお使いいただける頑丈なホックを作るためには、外からは見えない部分に緻密な計算と長年のノウハウが詰め込まれています。
本記事では、フジリュウの自社工場で日々行われている「φ15ミリ ラップホック(生地)」の実際の加工プロセスを、作業現場の写真とともに詳しくご紹介いたします。
生地の特性を見極める

今回クルミ加工を施すのは、鮮やかなイエローグリーンの細やかなメッシュ状の生地素材です。
まず初めに行う重要な工程が、素材の厚みや特性を理解することです。

シックネスゲージ(厚みを測定する工具)を用いて計測すると、元の生地の厚みは約0.47mm厚でした。
この0.47mmの生地をこのままダイレクトにホックに巻きつけても、綺麗なホックには仕上がりません。
このままでは厚みや柔らかさ、加工のやり難さの問題が発生してしまいます。
美しい丸みを帯びた仕上がりと、毎日の使用に耐えうる耐久性を持たせるためには、生地に「厚み」と「張り」を持たせる補強が必要です。
裏貼り
そこで、必要になるのが「裏貼り(うらばり)」と呼ばれる見えない部分を補強する加工です。
生地の裏側に補強用のシートを貼り合わせることで、加工に適した厚みとハリを持たせるよう調整します。

今回使用する裏貼り材単体の厚みは、約0.36mmとなっています。
また、この裏貼材には厚み約0.11mmの離型紙がついています。
今回の生地の場合、この0.36mmの裏貼りを1枚貼るだけでは、まだ強度が足りず美しい仕上がりにはならないと判断しました。
そのため、さらにもう一枚追加して2枚貼りにするという処置を施しています。

生地と裏貼りを2枚重ねた状態を再度計測すると、合計の厚みは約0.99mm厚になりました。
この「裏貼りを何枚重ねるか」という判断は、単に全体の厚みをミリ単位で合わせるという問題ではありません。生地の硬さ、繊維の伸びやすさなど、様々な理由を考慮し、素材ごとに「どうするか」は毎回変わります。
素材の特性を見極め、最高の状態を導き出すのは、機械にはできない職人ならではの感覚と経験の賜物です。
抜きとパーツの準備
裏貼り加工によって加工に最適な状態へと仕上がった生地を、今度は丸い形に抜き取っていきます。

今回の完成品はφ15ミリのホックですが、金具の側面から裏側へと生地をしっかりと包み込むゆとりを持たせる必要があるため、今回は直径「φ29.5ミリ」のサイズで正確に抜いていきます。
この抜きのサイズがわずか数ミリでも大きすぎると、ホックの裏側でダマになったり、逆に小さすぎると生地が足りずにホックが露出してしまいます。完成時の美しさと強度に直結するため、抜型のサイズ設定は重要な工程です。
セッティングとプレス
ここからは、専用のプレス機を使用した組み立ての工程になります。



まず左側で「キャップ」と「巻きたい生地」をプレスします。

上から圧力をかけることで、機械の内部ではキャップの周囲に生地がギャザーのように均一な力で押し込まれ、しっかりと巻き込まれた状態になります。

続いて次に、右側にセットしておいた「ホック頭」に対して、先程左側でプレスして生地を巻き込んだ状態のキャップをさらに巻き付けていきます。
再度プレス機を下ろし、2つの金属パーツを強固にかみ合わせながら、生地の端を完全に内部へと閉じ込めます。
ラップホックの完成

こうして2段階のプレス工程を経て、φ15ミリのラップホックが出来上がります。表面にシワやたるみがなく、均一に生地が張られた状態になっています。
たった15ミリという小さなパーツですが、その裏側には「生地の測定」「素材の性質に合わせた裏貼りのチョイス」「精密な抜き」「2段階にわたる工具でのプレス」という工程が詰まっています。皆様がお使いのアイテムについているクルミホックも、このように一つひとつ、適材適所の判断と丁寧な作業のもとに作られています。

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